戸田市

戸田市

導入したきっかけ

「自治体サービスの標準化」が最大の課題

まずは現在自治体が直面している課題について教えてください。

大山氏

2010 年に 1 億 2,806 万人だった人口が 2048 年には 1 億人を割り込むと見込まれるなど、急速な人口減が進む日本社会。これに伴い地方税収も縮小傾向にあり、地方自治体はより効率的で効果的な行政サービスを提供することが求められています。

今までも行政システムの最適化に取り組んできましたが、その最大の課題は標準化だと考えています。たとえば住⺠の問い合わせに答えるチャットボットも、各⾃治体がそれぞれ独⾃のしくみを作っているようでは、業務効率はもちろんのこと、利便性も向上しません。
⾃治体が単独で⾏えることには限界があります。数多くの⾃治体が参加できる共通の基盤が必要なのです。

「行政情報標準化・AI活用研究会」に参加

自治体の業務効率化を検討する中で、「AIスタッフ総合案内サービス」の導入をした経緯を教えてください。

大山氏

自治体が参加できる共通基盤として着目したのが、三菱総合研究所が提案した「行政情報標準化・AI活用研究会」でした。この研究会は、今後の自治体における AI 活用について、自治体と共に検討していくために設置されたものです。
この研究会であれば制度全体を構造化するためのノウハウの共有が可能であり、さらに研究会が開発したシステムであれば、ナレッジの継続的な更新も可能だと判断しました。戸田市が研究会に参加したのは 2018 年 1 月。2019 年 2 月には庁内向け、同年 3 月には市民向けに「AIスタッフ総合案内サービス」の試用を行っています。そして 2019 年 4 月からその本格運用を開始したのです。

職員・住民の反応

チャットは電話よりも気軽

導入後はどのような反応がありましたか?

大山氏

戸田市では公式サイトのトップページに「AIスタッフ総合案内サービス」のバナーを貼り、そこからチャットボットへと誘導。本格運用を開始した 2019 年4 月の月間利用者数は約 600 人に上り、合計で約 2,400 件の質問が行われました。利用者が増加すれば、導入効果もさらに拡大すると期待しています。

出典:戸田市情報ポータルサイト ( https://www.city.toda.saitama.jp/ ) ( 参照日:2020/01/09 )
三菱総合研究所、日本ビジネスシステムズ提供

出典:戸田市 AIスタッフ総合案内サービス ( https://ai-staff.net/toda )
三菱総合研究所、日本ビジネスシステムズ提供

チャットボットのメリットについて教えてください。

大山氏

電話による問い合わせは市民にとってもハードルが高く、チャットの方が気軽に行えます。スマートフォンへの対応もきちんとなされており、ホームページを検索するよりも目的の情報を見つけやすくなりました。実際に住民の皆さまからも、これは便利という声もいただいております。既存ホームページを改修する必要もありません。あるのは導入メリットだけで、デメリットがまったくないシステムだと言えます。

導入効果

月 45 万円の削減効果

導入効果を教えてください。

大山氏

本格運用を開始した 2019 年 4 月から 10 月までの月間利用者数の平均は 650 人以上に上り、月間質問数の平均は 3,000 件以上でした。定量的効果を計算した結果、月約 45 万円の削減効果がありました。利用者が増加すれば、導入効果もさらに拡大すると期待しています。
また、これだけの数の質問をチャットボットで対応できたということは、その分だけ職員による電話対応の負担が軽減されたことになります。

利用数の推移

利用数の推移

出典:スマート窓口とハイブリッドクラウドの活用

チャットボットで夜間の問い合わせ対応も実現

大山氏

ユーザーの利用時間を確認したところ、 15 時の問い合わせが最も多く、次いで 10 時の問い合わせが多いという結果でした。日中は職員も業務に追われているため、電話等での問い合わせがチャットボットで対応できたとすると非常に意味のある結果だと感じています。
対して、深夜時間帯の問い合わせは想定より少ない結果でしたが、実際に数件は利用されているのでこれまで対応できなかった夜間の問い合わせ対応が実現できていると評価をしています。

時間ごとの平均アクセス数

時間ごとの平均アクセス数

出典:AIスタッフ総合案内サービス分析レポート

問い合わせのトップ 3 は「ごみ」「住民票」「引っ越し」

問い合わせの内容はどのような内容が多かったですか。

大山氏

問い合わせとして最も多かったのが「ごみ」に関するものです。また、「住民票」や「引っ越し」といった内容の問い合わせも多く確認されました。

ホームページの不足部分の可視化

大山氏

「AIスタッフ総合案内サービス」を導入した副次的な効果としては、標準的な質問項目と照らし合わせることでホームページの不足部分が可視化できたということがあります。この情報を使って今後はホームページの改善も検討していきたいと考えています。

この記事は、日本マイクロソフト株式会社のお客様事例を元に再編集しています。
Azure を基盤とする「AIスタッフ総合案内サービス」を導入、チャットで手軽に問い合わせできるようになり、業務の標準化も可能に
( https://customers.microsoft.com/ja-jp/story/750613-toda-city-government-azure-jp-japan?ln=ja-jp ) ( 参照日:2020/2/4 )

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